龍華出産記③
普段から、多少の緊急事態に、やたら冷静に行動できることは
私の数少ないアピールポイントでもあります。
(一段落してから「怖かったよ~」と泣き出すことも・・・)
初産で、お尻に子猫をぶら下げたままぐるぐる回る龍華を
無理やり座らせることができたのも、今思えば奇跡・・・。
龍華は第一子をくわえて、小さすぎる箱に置いたと思えば
自分もその箱に入り、ぎこちなく、第一子をなめ始めた。
子猫は生まれたばかりなのによく動く。
細くて小さくて弱々しい腕をいっぱいいっぱいに伸ばして
一歩一歩、お母さんのミルクを求めて進む。
お母さんの方向はわからなくても、とにかく前へ進む。
でも龍華は、子猫を自分の元へ導いたりしなかった。
それどころか自分の下敷きにしそうになっている。
なんせ箱が小さすぎるのだ。
その時。
龍華が再びいきみ始めたのです。
あ、、、、、、次のが生まれる・・・・
自分だけで満員の箱で、子猫を下敷きにしながらいきむ龍華。
お母さんのミルクを求めて小さな箱の隅っこでもがく子猫。
危険だ。
気付いた私はすぐに席からハサミを持ち出し、
その小さすぎる箱の四隅に切り込みを入れ、箱を展開した。
そして第一子を龍華の背中側からおなか側へ移動させた。
次の瞬間、龍華その体勢のまま、第二子出産。
ふぅ。。。。。ぎりぎり間に合った。
あの箱のまま産んでたら、第一子、第二子共に圧迫死していたかもしれない。
まあ龍華もそこまで馬鹿じゃなかっただろうけど、念には念を。
箱を展開したのは正解であり、奇跡的冷静な判断だったと自負している。 続く